被災地経験を分けてもらう
大手企業の復興支援や事業継続計画(BCP)、社員研修の担当が参加した「管理職向け研修ツアー」が2月、岩手県沿岸被災地で開かれた。
発災直後や復興現場で、選択・決断を下した体験を聞いた後、参加者同士で振り返り、普段の仕事で何が大切かを学んだ。統括役の講師も同行するが、参加者の答えを引き出す「伴走者」に徹した。
いわて復興ツーリズム推進協議会が今年度、復興庁の支援を受け、複数回催行した。今後、補助なしの「自走」を求められるなか、東京都内での座学と組み合わるなどして、企業研修にと提案する。
被災地訪問が「目的」でなく、研修の「手段」である点が新鮮だった。「被災地の経験を分けてもらう」という参加者の声に、復興ツーリズムのあり方の手がかりがあるように思う。
【鈴木 克範】