「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(11月号)」
2020年11月21日(土)配信
〈巻頭言〉
1968年にノーベル文学賞を受賞した川端康成に並び、かねてから欧米でも高い評価を受けている「金閣寺」の作者、三島由紀夫が自らの命を絶ったのは、国内を揺るがした学生運動が終盤を迎え、日本の高度経済成長を象徴する大阪万博が開催された1970年のことでした。本誌11月号では、同作家の没後50年を機に、衝撃的な最期を迎えた文豪の晩年を、その思想や複雑な人物像を追いながら専門家たちと振り返りました。グルメページでは「変わりゆく横丁」をテーマに、往年の横丁の魅力から、新たな「グルメスポット」としてオープンした虎ノ門横丁まで幅広く言及。旅ページは、前号でホップの生産地としてリポートした遠野(岩手県)を別の角度から取材。かっぱ伝説など柳田國男が手掛けた日本民俗学の原点とも言われる「遠野物語」が伝える世界をのぞいてみました。
(編集長 クロード・ルブラン)
◇
□特集 三島由紀夫という男がいた
世界の作家、三島由紀夫が自衛隊決起を即した後に割腹自殺をはかってから50年。今回の特集では、彼が自死に至るまでの最期の10年を追った。安保闘争が繰り広げられた激動の時代、すでにスター作家として知られ、メディアを飾っていた三島に転換期が訪れた。1960年、三島は毎日新聞に政治的発言を寄稿し、翌年発表した小説「憂国」で自身の思想を決定づけた。その後、ナショナリズムに傾倒する三島は、多様なジャンルの作品を手掛けるも、本格的文学作品の執筆が減り、民兵組織「楯の会」の活動を本格化。一般的にその文学性と思想性に関連性がないと言われるが、評論家ダミアン・フラナガン氏は1つのつながりがみえるという。三島の関心は美とアイデンティティの追求から思想へと変わっているようだが、最終的に彼は政治的思想の中にみる美の可能性を掘り下げていたのではないだろうか、と。そして同氏は、彼は近代化する日本の傷を見事なまでに表現した類稀な作家であるという。■ドキュメンタリー映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」の豊島圭介監督インタビュー。■作家 平野啓一郎氏に聞く三島由紀夫の人物像とその根っこにあるもの。
◇
□〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉BANDAIオフィシャルショップ
2019年に40周年を迎えた機動戦士ガンダム。アニメ作品だけに限らず、登場するロボットや戦艦のプラモデル「ガンプラ」もファンが多いことは有名です。
フランスでは、今年7月、ついにパリ市内にガンプラを主体としたホビーショップがオープン。「ガンオタ」たちの人気を集めています。
10月には、パリのビジネス街に立つショッピングモール内に、期間限定でワンピースやドラゴンボールなどプラモデルやフィギュアのポップアップショプが登場しました。店内ではハズレなしの有料くじ引きも販売。このショップでしか手に入らない高価なグッズをゲットするチャンスもあったとか。BANDAI社は、今後もこういった期間限定ショップを展開していく意欲はあるが、実際には今回の結果次第とのこと。残念ながら、ショップの営業最終日を待たずに、フランスはコロナの影響により2度目のロックダウンに突入してしまいました。今年はジャパンエキスポなど日本のポップカルチャー関連のイベントが中止になってしまうケースが多いなか、アニメのオフィシャルショップオープンはファンにはうれしいニュースだっただけに残念。クリスマス前の常設店舗の再開に期待が寄せられます。
フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉