純損失782億円 来年度の黒字化目指し中期経営計画を発表 JTB中間
2020年11月25日(水) 配信
JTB(山北栄二郎社長)が11月20日(金)に発表した2020年4~9月期の連結決算は、売上高が前年同期比81・1%減の1298億3700万円、純損失が781億7200万円(前年同期は43億5300万円の利益)と赤字を計上した。同社はこの結果を受け、来年度の黒字化に向けて中期経営計画「『新』交流創造ビジョン」を発表した。
営業損失は710億7000万円(同64億2200万円の利益)、経常損失は580億300万円(同68億6900万円の利益)と赤字に転落した。
当期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光関連産業に大きな打撃を受けたことから「類例のない経営環境の悪化となった」(山北社長)。
国内企画商品では、Go Toトラベルキャンペーンの効果で、11月15日(日)現在第3四半期(10~12月までの売上と予約分)は回復傾向にある。海外旅行は、渡航制限により21年1月7日(木)出発分までのツアーが催行中止となっている。外国人旅行は、サンライズツアーを10月から販売再開(在日外国人と日本人の予約を含む)している。
□緊急コスト削減策 利益黒字化目指す
事業への影響を最小限に抑えるため、国内外の拠点、グループ要員、役員報酬等の人件費などの削減を行い、経費を抑制して利益回復をはかる。21年度までに約1400億円の改善を目指す。
国内グループ会社の10社以上、海外拠点の190拠点以上を削減し、機能を強化する。そのほか、本社やプラットフォームなど、間接機能の最適化をして組織改革を行う。
販売機能の改革は、全国店舗の115カ所(全体の3分の1)を減らし統廃合する。
また、グループ要員6500人(国内2800人、海外3700人)を、定年退職や早期退職拡充、事業再編、22年度の新卒採用見合わせなどで人員削減を行う。
経費削減を短期の経営計画に据えて、回復・成長への基盤づくりとして黒字化を目指す考え。
□コロナ後を見据えて デジタル基盤を築く
同社は、今後展開する事業戦略として、「『新』交流創造ビジョン」を発表した。内容は、ツーリズムとエリアソリューション、ビジネスソリューションの3つを提示する。デジタル基盤の強化で、顧客の実感価値を高める。
ツーリズム領域では、オンラインとオフラインが統合したシームレスな購買体験を提供する。旅マエ、旅ナカ、旅アトまで続くトータルサポートを実施する。
エリアソリューションでは、自治体や観光地域づくり法人(DMO)、観光関連事業者などのステークホルダーとのつながりを生かし、「ストック型」のビジネスモデルを拡大する。エリアにおける課題を解決し、地域の魅力向上に取り組む。
ビジネスソリューションでは、法人顧客それぞれの課題解決や、持続的発展に貢献していく。
営業利益での構成比は、ツーリズム2:エリア1:ビジネス2の比率をイメージし、3領域での利益創出を目指す。
山北社長は「これまでもこれからも、事業の基盤はツーリズムだ」と力を込め、「自由度の高い個人型商品を造成していく」と考えを示した。