JTB旅行意識調査、年末年始の旅行は「新常態の安近短」 感染防止を最優先に
2020年12月11日(金) 配信
JTB(山北栄二郎社長)は12月8日(火)、年末年始(2020年12月23日~2021年1月3日)の旅行に関する意識調査結果を発表した。年末年始に旅行に行きたいと考えている人は14.8%で、前年から5.2㌽減少した。旅行日数は1泊2日が最多となった。
同社では、コロナ禍での年末年始の旅行は、感染防止を最優先に、車で家族と近場に出掛ける「新常態の安近短(安全安心・近場/近しい関係・短期間)」が大きな特徴だとまとめた。
□感染防止意識が旅行内容に影響
帰省を含めた年末年始の旅行について、「行く」(7.9%)または「たぶん行く」(6.9%)と回答した人の合計は、14.8%となった。男女とも若年層の旅行意向が高く、性年代別では20代の男性25.7%、女性19.8%にのぼった。一方で、60代以上は男性8.7%、女性7.1%にとどまり、年代による差がみられた。
日数は、1泊2日(30.8%)が最多で、2泊3日(25.2%)、3泊4日(17.4%)と続く。1泊2日は前年から0.3㌽増加したが、2泊3日と3泊4日のいずれも減少。旅行が短期化していることがうかがえる。
旅行先は、関東(21.6%)が最も多く、利用交通機関は、乗用車(56.3%)が最多となった。乗用車の割合は、3.6㌽増加した一方で、公共交通のJR新幹線(20.7%)と高速/長距離バス(6.4%)はともに前年より減少した。
同行者は、家族連れ(61.6%)が半数以上を占めた。家族の内訳は、子供連れが前年と比べて増加したが、夫婦などは減少。1人(20.7%)は増加した。
1人当たりの旅行費用は、1万円~2万円未満(23.3%)、1万円未満(21.5%)の順。1万円未満は、前年から順位を上げた。4万円~5万円未満(11.2%)は3.4㌽減、5万円~7万円未満は2.4㌽減少した。
利用宿泊施設は、旅館・ホテル・民宿・ペンション(56.5%)が前年比2.5㌽増、夫や妻の実家(24.0%)は3.9㌽減となった。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、高齢者や近所に配慮し、実家を避ける動きがみられる。
□「同行者」「移動手段」「行き先」を意識
アンケートの「コロナ禍の旅行で特別に考慮すること」に対し、もっとも多かった回答は「家族・親族や親しい友人以外には合わない(34.2%)」だった。次いで「公共交通機関を使わずに、自家用車やレンタカーを使う(30.6%)」「少人数の旅行にとどめる(24.1%)」「人が多数移動する時間を避ける(20.7%」「感染者数が増加傾向の地域は避ける(18.7%)」と続いた。
これらの結果から、新型コロナへの対策として「同行者」「移動手段」「行き先」の選択が影響していることがみてとれる。
□Go Toトラベルで実家よりホテルに
また、Go Toトラベル事業が年末年始の旅行に与えた影響について、「今回の動機や行動に影響していない」が61.8%となった。一方で「例年旅行しないが今年は旅行する」が19.2%、「宿泊先を実家から宿泊施設に変更」が8.8%、「帰省をやめて別の場所へ旅行」が8.6%となり、一定数の影響を与えていることがうかがえる。また、Go Toトラベル事業の実施により、実家を避けてホテルなどに滞在する傾向が今年の特徴として挙げられる。
同社はこれまで、年末年始の国内/海外旅行者数や消費額を各種データ、定点の意識調査を基に推計して「年末年始の旅行動向」として発表してきた。だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、旅行を取り巻く観光が流動的であることから、今年は旅行者数などの推計は行わず、定点で実施している意識調査、各種データから見えてくる年末年始の旅行トレンドについてまとめた。
調査は11月17~19日の3日間、インターネット上で行われ、全国の15~79歳の男女1697人(事前調査で「年末年始に国内旅行に行く/たぶん行く」と回答した人から抽出)を対象に実施した。