ふるさと納税の寄付額、半数の自治体が50%以上増加 さとふる調査
2020年12月11日(金) 配信
ふるさと納税のポータルサイトを運営する、さとふる(藤井宏明社長、東京都中央区)はこのほど、自治体と事業者へ実施したコロナ禍のふるさと納税に関するアンケート調査の結果を発表した。これによると、約半数の自治体で今年4~9月の寄付額が前年同期比50%以上増加した。巣ごもり需要が後押し、食品などの返礼品に再度注目が集まった。寄付や返礼品の傾向は、約8割の自治体が新型コロナウイルス感染拡大の影響があると答えた。
調査は10月16~27日、さとふるで返礼品を提供する、全国の221自治体と677事業者を対象にインターネットで実施した。
寄付額の変化は、前年比100%増以上が26・7%、50~99%増が20・8%、20~49%増が19・0%増となり、6割以上が2ケタ増加。4分の1は2倍以上の伸びを示した。
寄付やお礼品へのコロナの影響については、「あると思う」が38・5%、「ややあると思う」が43・9%となった。具体的な変化は「巣ごもり需要増加」が45・1%、「体験型お礼品の需要減少」が15・9%、「寄付金額・件数の増加」が14・3%、「新型コロナ対策支援関連寄付の増加」が6・6%と続いた。
コロナの影響で新たに始めた取り組みとしては、4割以上の自治体が「実施している」「実施予定」と答えた。寄付の使い道にコロナ対策・医療従事者支援を追加した自治体が多く、新たなお礼品の企画・追加が次に続いた。
一方、事業者へコロナの事業全体への影響を聞いたところ、8割が「影響が出ている」と答えた。そのなかで、売上の減少は66・9%となり、そのうち約6割が「3割程度の減少」を挙げた。ふるさと納税の寄付額全体はコロナ禍で増加傾向にあるが、事業者の経営環境自体は厳しいことが推測される。
12月10日にオンラインで開いた会見で、青木大介取締役兼COOは、今年のふるさと納税を「地域を応援する本来の在り方に回帰した」と特徴づけた。さとふる内では、3~5月に「応援」や「支援」がつくタイトルの検索が24倍伸びたことを紹介。「ふるさと納税が応援消費の受け皿になっている」とし、返礼品を伴わない純粋な寄付も大きく伸びていることを報告した。
□地域の未来づくりを一緒に
同社ではコロナ禍の地域を支援するため、さまざまな特集を設けている。「オンライン帰省を楽しむ」では、食品の返礼品を自宅と帰省先で同じものを選び、感想を共有するなど、ふるさと納税の活用法を提案する。
また、先日は地域のファンづくりのため、「ふるさと応援サロン」としてオンラインイベントなどを実施した。これはアンケートで自治体、事業者ともに課題として挙がった「寄付のリピート・ファン獲得のためのスキルがない」「オンライン上でつながりを持つための対応が進んでいない」への解決策の一環だ。事業者は返礼品や地域の魅力を紹介し、また参加メンバーは地域への応援の想いを強くするなどお互いの絆が深まったという。
青木COOは今後の展開の柱に「特産品の新たな販売チャネルの提供」と「日本の特産品の物流を変える」を据える。「当社は『“地域の未来づくり”を一緒に』がコンセプト。地域とともに変化に対応し、コロナを機に良い方向へ転換していきたい」と強調した。