持続可能な観光地域経営 UNWTO、運輸総研らと共催でシンポ開く 観光庁
2020年12月24日(木) 配信
観光庁は昨年12月21日(月)、国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所(本保芳明代表)、運輸総合研究所(宿利正史会長)と、「持続可能な観光地域経営の推進に関するシンポジウム」を共催した。新型コロナウイルス禍の回復に向け、世界的な潮流をUNWTOから、国内の先進地域の取り組みを各自治体の首長や観光庁から紹介した。
基調講演では、観光庁の村田茂樹観光地域振興部長が、観光地の混雑やマナー違反への対応、オーバーツーリズム防止策などについて同庁の取り組みを発表した。
近畿運輸局が2018年に京都の嵐山地域で行った実証事業では、紅葉の時期に訪れる観光客の入込状況をスマートフォンなどのWi-Fiアクセスデータを活用し、快適度を「見える化」した。これにより、観光客の訪問時間帯が分散される傾向が見られたほか、サービス利用者からは「参考になった」との声が多くあった。
観光庁は、この取り組みが「新型コロナ感染拡大防止にも役立つ」と見て、エリアを拡大して運用している。
UNWTO駐日事務所の鈴木宏子副代表は、沖縄県や北海道・ニセコ町、岐阜県・白川村などの自治体にヒアリング調査を行い、取り組み事例と課題を洗い出したほか、国内外の事例と比較した。
鈴木氏は、「現場における知識やノウハウを取得し、課題に対応するための支援体制の充実と、観光分野に留まらない取り組み体制の構築が必要」と力を込めた。
かまいしDMC(岩手県釜石市)の久保竜太氏は、観光に対する釜石市の住民の意識調査や、入込客数、リピート率、消費額を調査して「観光庁の旅行・観光消費動向調査と比較を行っている。結果は公表し、施策立案の参考にしている」と紹介した。
釜石市の課題は持続可能な観光に対する「地域の理解の醸成」(久保氏)だと考え、「持続可能な観光のメリットの定量化・可視化を行い、地域の理解促進をはかる」と今後のビジョンを述べた。