大堀相馬焼バーチャル伝承館、ネット上で“開館” ~21年3月福島県・浪江町にオープン予定の「大堀相馬焼伝承館(仮)」完成に先駆け~
2021年1月17日(日)配信
大堀相馬焼協同組合(小野田利治理事長、福島県浪江町)はこのほど、ウェブ上に「大堀相馬焼バーチャル伝承館」をオープンした。
福島県浪江町の「道の駅なみえ」内には現在、町の伝統工芸・大堀相馬焼の工房や展示・販売のための施設(仮称:大堀相馬焼伝承館)が、2021年3月のオープンを目指して建設中だ。より多くの人にこの施設へ関心を持ってもらおうと、完成に先駆けて仮想空間で開館した。
バーチャル伝承館では、実際にその場にいるかのように施設内を見てまわることができる。展示・学習コーナーをはじめ、販売コーナー、工房内のろくろ場、窯場の4カ所に「入室」し、インフォメーションマークをクリックすると、大堀相馬焼の歴史や技法が学べるほか、画面上でろくろを回す体験もできる。販売コーナーは通販サイトにリンクし、ネットショッピングやZoom陶芸体験も可能だ。サイト上での定期的なイベントの開催も予定している。
大堀相馬焼は、浪江町大堀地区に受け継がれてきた、江戸時代から300年余の歴史を持つ伝統工芸。2011年の東日本大震災と原発事故で浪江町は全町避難となり、20軒以上の窯元たちは全国へ分散避難を余儀なくされた。その約半数が各地で工房再建を果たし、伝統の灯を守っている。
2017年3月、浪江町の一部で避難指示が解除されたが、大堀地区はいまだに避難区域として残る。2021年、町の復興シンボルでもある「道の駅なみえ」内に大堀相馬焼伝承館が完成すれば、元の大堀には戻れなくても、ついに浪江町内に拠点が復活することとなる。