【特集No.575】コロナ禍でも成長する 本業越え、新事業・販路を開拓
2021年2月17日(水) 配信
新型コロナウイルスの感染拡大から1年が過ぎた。先が不透明で観光業としても耐える会社が多いなか、観光業という柱(本業)に捉われずに、新しいアプローチで収入源の確保をはかる会社がある。また、収束後を見越した誘客を行い、急回復を狙う企業やコロナ禍でも感染防止を徹底する旅行会社などさまざまなアイデアで危機脱却を模索している。会社の成長を目指す業界各社を紹介する。
【木下 裕斗】
旅行業大手のHIS(エイチ・アイ・エス、澤田秀雄会長兼社長)は、主力事業である海外旅行の催行が難しいなか、自社が持つ海外ネットワークを活用した新しい商社事業を拡大している。
澤田会長は昨年12月11日(金)の決算発表会で、旅行事業の売上が落ち込み、「ハウステンボスの売却も検討した」ほどの厳しさを明かした。同社は「成長が見込める商社事業を拡大する必要がある」と、旅行外事業分野の開拓に力を入れる考えを示した。
とりわけ重点を置く商社事業は2015年11月にスタートした。新型コロナウイルスの拡大前までは、航空券や宿泊施設などを手配する業務の一環で、海外の現地法人が市場調査や有事の際に現地のようすを伝えてきた。20年6月にこれらの事業を発展させるため、「レンタルHIS」と名称を定めた。海外でさまざまな企業の営業を代行するなどHISの業務の範囲を広げることで、法人との連携を強化するためだ。
商社事業を展開する法人事業の売上は20年10月期決算で、全体の約2割(18・8%)を占めるまでに育った。
サービス開始から同年11月までの5年間に、1522件を受注し、依頼対象国数は83カ国。リピート率は約20%だった。依頼を受けた業種はサービス業や製造業、自治体などだ。
コロナ禍でも連携強化を加速させている。西松屋チェーンのベビー服や、アイリスオーヤマの家電製品などの販売を、タイのHIS店舗でスタートさせた。
海外への進出支援にも着手。石川県で和菓子店を経営するトイダックとのブランディングや、営業戦略などをサポートする契約を結んだ。
今後は、ホテル&旅館再生事業と農業、人材派遣などにも新たに進出し、約3~4つを将来の大きな柱に育てる。
オンラインツアーは、「障害者の利用が増加している」(広報室の三浦達樹主幹)という。ユニバーサルツーリズムは現在、催行を中止しているが、オンラインツアーへの参加で、HISが提供するサービスの魅力を知ってもらい、ツアーの利用につなげたい考えだ。……
【全文は、本紙1825号または2月24日(水)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】