「旅館コンサルタント大坪敬史の繁盛旅館への道(61)」 前向きなビジネスホテルの事例に学ぶ
2021年3月11日(木) 配信
先日、出張で東京駅近くのビジネスホテルに泊まりました。インバウンドバブル時代は1泊素泊まりで1万5000円(税別)ほどの料金だったのが、今は6000円(税別)と以前の半値以下でした。
東京駅に近く、翌日の移動も便利なので、東京に泊まる時はよく利用しています。
今回、利用して今までと大きく違ったのが「お客様対応」です。チェックイン時に名前を伝えると「お帰りなさいませ大坪様。昨年の11月にお泊りになられて以来ですね」と言われ、面食らってしまいました。
このホテルは、フロントに名前を伝えて、自動精算機で精算するタイプのビジネスホテルです。
以前は、機械的な案内だけでしたが、お客様が少なくなり、フロント対応にも余裕できたのかもしれませんが、あまりの対応の違いに驚きました。
ただ、その時の私は両手に荷物を持ち、早くチェックインしたかったので、「おもてなし強化週間なのかな」程度の理解と「大手ビジネスホテルチェーンでも『こんな』状況なんだ」としか思いませんでした。
その後、部屋に入りデスクにノートパソコンを置くと、PCの下がガサガサするので確認すると、名刺サイズの折り畳みカードが置いてありました。
カードの中を開くと、次のようなメッセージが書かれていました。
「大坪 敬史 様。大坪様 おかえりなさいませ!! 以前にも当館にご宿泊頂きましてありがとうございます! 大変なご時世ではございますが、当館にてご宿泊頂きますこと誠に嬉しく思います! 本日は、兵庫県からお越し下さいましたでしょうか。
本日の天気は、晴れ日和でございますので、気温もそこまでは低くならない予報でございます! ですが、引き続き、寒さ対策などお気をつけくださいませ(太陽マーク)また何かございましたらお気軽にお声掛けくださいませ。では、ごゆっくりお過ごし下さいませ フロント担当者」。
文章は手書きで、蛍光ペンなどの装飾もありました。書き上げるには、最低5分は掛かりそうなメッセージカードで驚きました。
昨年11月に宿泊した時は、Go Toトラベル適用期間で宿泊のお客様も多く、こういう対応はありません。今回2度目の緊急事態宣言発令で相当にお客様が減少し「何かしないといけない」という考えだと思います。
再度強調しますが、これは1泊素泊まり6000円(税別)のビジネスホテルでの出来事です。旅館やシティホテルでこういう対応をされてもとくに驚きませんが、宿泊料金の安さとビジネスホテルチェーンでの出来事に、非常に驚きました。
大都市圏含め、ビジネスホテルやシティホテルの稼働率は、コロナ禍において非常に厳しい状況です。ただ、その中でもなんとか前を向いて実際に行動に移しているビジネスホテルチェーンもあることは、希望が湧く宿泊となりました。
コラムニスト紹介
旅館コンサルタント 大坪 敬史 氏
大手旅行会社での実務業務を経て船井総合研究所入社。インターネットを駆使したWeb販促&直販売上倍増&即時業績向上ノウハウには定評があり、数多くの宿泊産業の業績向上に貢献。観光文化研究所を設立し代表取締役。