〈観光最前線〉興味ないものを観る
2021年4月17日(土) 配信
半世紀も生きていると、音楽や外出先など、多くの選択があるにも関わらず、無意識に選ぶ範囲が固まっていく。興味の成熟といえば聞こえがいいが、おかげで新しい出会いは日々少なくなる。それに気づいて、時々行動に移す。去年、北海道・白老町のウポポイを訪れた時もそうだった。
数ある体験プログラムから、最も参加しないであろう「樹木案内」を選んでみた。古式舞踊の人気列を横目でにらみ集合場所へ。参加はただ1人、案内人は2人もいる状況に「逃げられない」と覚悟を決める。園内を散策しながら、アイヌと植えられた樹木の関わりを丁寧に教わった。
「アイヌは花を愛でる習慣がない」と知ったのは、意外であり1番の収穫だった。興味のないところから、新しい関心事が生まれた瞬間だ。
【鈴木 克範】