津田令子の「味のある街」「金目鯛煮付けセット」――割烹伊豆の味おか田(静岡県・南伊豆町)
2021年5月7日(金) 配信
美しい海と山、温暖な気候に恵まれた南伊豆湊に創業1985年の「おか田」はある。「純和風の落ち着いた店内は、ゆとりを大切にという思いから設計しました」と代表取締役の岡田正司さんは語る。
NHK総合テレビ「こんにちはいっと6けん」や、NHKラジオ第一放送「タウン情報旅ガイド」の取材で、これまでに南伊豆を訪ねたのは数えきれないが、その度に、料理の素材の豊かさに感激していたことを思い出す。
さて、コロナ禍でなかなか自由に取材に出られないでいるなか、南伊豆の美味しい味が食卓に届く方法があると聞き、早速取り寄せてみた。南伊豆町に隣接する下田市は、金目鯛の水揚げ量が日本一の港だが、この特産の新鮮な金目鯛をさまざまな料理法で提供しているのが、郷土割烹伊豆の味おか田だ。
4月11日に始めたばかりだという「金目鯛煮付けセット」お取り寄せ便のセットの内容は、頭半割1個、カマ1個、身4切入っていて、税込で3000円という超お買い得価格も気に入った。冷凍の状態で送られてくるので冷凍庫での保存になる。「食べる際は冷凍庫から取り出して8~10分ぐらい湯煎して召し上がってくださいね。冷凍調理品なので到着後1カ月以内に」と岡田さん。
おか田の煮付けの特徴は「漁場煮」と呼ばれる地元漁師の料理法で、漁師が船の上で食事をとる際に煮汁自体が、ご飯のおかずになるようにと考えだされたという。もちろん酒の肴にもグッドなのだが、下戸の私は、切り身に箸をつける前に、まずは甘辛い濃い目の煮汁をあつあつのご飯にかけていただいてから、皿にのせられた赤い鱗までたっぷり煮汁で浸した金目鯛に目を向け、厚み1・5㍉はあろうかという肉厚の身を一気にほぐしていく。
口に入れた瞬間、あまりの美味しさに、うなってしまうほど。今までに、これほど柔らかく、しかもしっかり味付けされたキンメの煮付けに出会ったことはなかった。
いつまでも口の中は南伊豆の磯の香りと塩梅良く味付けされた煮汁が、占領している。
(トラベルキャスター)
津田 令子 氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。