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【精神性の高い旅 ~巡礼・あなただけの心の旅〈道〉100選】-その1- 江戸五色不動尊巡礼(東京都) 心の拠り所としての巡礼 お不動様の懐に包まれよう

2021年5月6日
編集部

2021年5月6日(木) 配信

 
 神社仏閣は、「心の拠り所」となる場所ではないでしょうか。不安なとき、悲しみに打ちひしがれたとき、苦難に遭遇したとき、神仏にすがりたくなるもの。仏教に「一心称名」(いっしんしょうみょう)という言葉があります。その意味は心を集中して、仏様や菩薩様の名号を唱えること。

 
 観音経にもこの言葉は出てきて、突然の災難がやってきても「南無観世音菩薩」と全身全霊を込めて唱えれば、観音様がその悩み深い声をもらさずにキャッチして、救ってくださるといいます。

 
 神社仏閣の旅というのは、感謝の心を伝えたり、今抱えている苦しみを吐露したり、一心に祈って救いの道を与えてくれる時間になるのではないかと思います。また、大いなる愛情に包まれに行くことが、神社仏閣の旅かもしれません。

 
 さて、精神性の高い旅の1回目は東京23区内にある江戸五色不動尊巡礼をご紹介します。

 
 江戸時代、天海僧正のアドバイスにより、3代将軍家光が6カ所の不動尊の寺院を選定。その6カ所の不動尊を巡るのが、江戸五色不動尊巡礼。

 
 目黄・目赤・目白・目青・目黒の不動尊を巡るのですが、目黄が2カ所ありますので、6カ所に。色彩においては諸説あるそうですが、東洋の陰陽五行説にある、白・黒・赤・青・黄で分けているとのこと。5色には邪気を寄せ付けないという、魔除けの意味も含まれているようです。

 

目黒不動尊の山門

 6カ所を巡る、決まった順番はありません。

 
 1カ所目は、江戸川区平井の目黄不動の❶最勝寺。総武線の平井駅から、徒歩20分程度。その道のりの中で下町情緒漂う商店街があり、活気ある店が多く、巡礼後に立ち寄れるお楽しみもあります。

 
 最勝寺は、860年に慈覚大師が開山。お不動様のあえて恐いお顔で私たちを戒めてくださるお姿に、心を打たれます。お不動様を巡る際に、お不動様のご真言を唱えると、きっとお不動様との絆が深まるでしょう。

 
 2カ所目は、文京区本駒込にある目赤不動の❷南谷寺。南北線の本駒込駅から、徒歩3分程度。家光が鷹狩の途中で立ち寄り、「目赤不動と呼ぶべし」と命があったとのこと。地獄の果てまで助けてくださる地蔵菩薩群を通り抜けると、お不動様とご対面。目赤というだけ、お不動様のお体も赤色でした。

 
 3カ所目は、台東区目黄不動の❸永久寺へ。日比谷線・三ノ輪駅から徒歩1分程度。開基は、鎌倉時代末期。現代的な建物の中にある、お堂の小窓からお不動様とご対面。仄暗い中のお不動様は、美しく凛々しくて、深い感銘を受けました。

 

目白不動の護身のお守り

 それから、三ノ輪から都電荒川線に1時間程度乗り、学習院下で下車。徒歩10分程度で、4カ所目、豊島区目白不動の❹金乗院へ。目白不動堂にある、弘法大師作の秘仏のお不動様。決まった日にしかお目にかかれません。こちらのお不動様は、断臂不動と呼ばれ、人々を救うためお不動様自ら左腕を断ち切り、そこから火焔が噴出しているお姿。特別なお力があるお不動様のようで、護身守りとして、お不動様の黒い御手を購入できます。

 
 5カ所目は、世田谷区三軒茶屋の目青不動の❺教学院へ。東急田園都市線の三軒茶屋から、徒歩5分程度。静かな境内でお不動様とご対面でき、ゆっくりと祈りをささげることができるでしょう。

 
 最後6カ所目は、目黒区目黒不動の❻瀧泉寺へ。東急目黒線・不動前から、徒歩10分程度。こちらはお不動様、普賢菩薩、虚空蔵菩薩など干支に合わせて、守護仏様のお参りも可能。最終地にて宇宙の万物を産み出す、大日如来様とご対面。お不動様の背後にいらっしゃいます。どんなことでも寛大な心で許してくれる、母親的な愛情で満たしてくれるでしょう。

 

旅人・執筆 石井 亜由美
東洋大学国際観光学部講師、カラーセラピスト。精神性の高い観光研究部会メンバー。グリーフセラピー(悲しみのケア)や巡礼、色彩心理学などを研究。

 

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