ワーケ経験者に調査 「隠れワーケ―ター」で潜在ニーズが浮き彫りに(山梨大学×クロス・マーケティング)
2021年5月10日(月) 配信
山梨大学生命環境学部地域社会システム学科の田中敦教授と西久保浩二教授の研究グループはこのほど、クロス・マーケティング(五十嵐幹社長、東京都新宿区)と共同でワーケーションに関する調査を行った。調査では、会社に導入されていない、または会社の制度を利用せず連休などと併せてワーケーションをした「隠れワーケ―ター」が4割程度いることが分かった。
調査は3月23(火)~29日(月)に、全国在住の男女20~64歳の就業者7万6834人のうち、「直近1年間にワーケーションを実施した」と答えた1000人を対象に行われた。
実施場所は「自宅や会社から離れた観光地(ホテル・旅館・キャンプ場など)」が49・0%と最も多く、なかでもビジネスホテルやリゾートホテル、シティホテルなどのホテル施設の利用が多かった。
また、旅先での働き方は「仕事中心に過ごし、業務時間外であっても遊びや観光をしない派」と、「仕事中心だが、業務時間外では遊びや観光をする派」が同程度で、1日当たりの平均労働時間は5・4時間と、通常の勤務時間より少し短い傾向が見られた。
旅先での仕事内容は、9割以上が「普段の仕事の一部」または「普段の仕事とまったく同じ仕事」と回答した。
同行者の有無については、約半数が「1人旅」と回答し、同行者がいる場合は4人に1人が「配偶者や恋人との2人旅」という結果になった。
ワーケーションを経験した半数以上が「今後ワーケーションを(再び)行いたい」と回答し、とくにワーケーションを経験した管理職以上の人の7割が実施意向を示し、6割が会社への導入を検討していることが分かった。同社はこの結果に対し「意外にも管理職の意向が高い」と見ている。
また、リゾート地などで仕事をしながらこっそり休暇の環境を楽しむ「隠れワーケ―ター」が4割ほど存在することが分かった。
これについて、田中教授は「企業側は働く場所の自由度を高め、社員が安心してワーケーションできる仕組みを検討する必要がある」と提唱し、観光庁が作成した企業向けパンフレットを参考に、ワーケーション制度の導入を勧めた。
「ワーケーション中に積極的に遊びや地域での交流を楽しむ『デジタルノマド』型が多数存在していることは、今後の受入地域でのマーケティングに大きな示唆を与える」(田中教授)と期待を述べた。