JTA純損失60億円を計上、大幅な減収減益に
2021年5月10日(月) 配信
日本トランスオーシャン航空(JTA)がこのほど発表した、2021年3月期(20年4月1日~21年3月31日)の決算は、当期純損失60億円(前期は62億円の利益)の赤字となった。新型コロナウイルスの感染拡大で経営環境が厳しく、固定費の削減などに努めたが、売上高は前期比55・3%減の191億円、営業損失は84億円(前期は86億円の利益)、経常損失は85億円(同84億円の利益)と大幅な減収減益となった。
旅客収入は、同59・9%減の150億円と大幅に減少した。収支への影響を最小限にするため、需要に応じた減便や運休を実施。生活路線は公共交通機関の使命から必要便数維持に努めた。一方、感染状況が落ち着いた地域に対しては、政府や沖縄県主催のキャンペーンを活用し、「安全、安心、環境ニーズ」に即した旅行商品を販売して集客力を高めた。こうした結果、提供座席数は同35・5%減の272万9000席、旅客数は同59・1%減の126万1000人だった。
貨物・郵便収入は同20・4%減の17億円。コロナに加え、前期の消費税増税の影響などから全体的に減少傾向となった。
21年度の通期業績見通しは、売上高が前期比73・8%増の332億円、営業利益16億円、経常利益16億円、当期純利益11億円を見込む。コロナの影響で先行きが不透明な一方、秋以降はワクチン接種が進み、旅行需要が回復するのではと期待する。
同社は2021~25年度新中期経営計画をスタート。沖縄の経済回復に貢献する施策として、需要が旺盛な本土―先島諸島間の輸送力を強化する。3月に新路線の宮古―名古屋(中部)線を開設したほか、石垣―名古屋(中部)線の運航再開などで、ネットワークの拡充をはかる。「コロナ禍で毀損した財務基盤を早期に立て直し、いかなるイベントリスク・競争環境下においても存在し続け、次なる成長につなげるよう持続可能な事業構造への変革を目指す」(同社)と意気込む。