KNT-CT、近鉄などから400億円の資金調達 6月末に債務超過解消へ
2021年5月13日(木) 配信
KNT-CTホールディングス(KNT-CTHD、米田昭正社長、東京都新宿区)は5月12日(水)、親会社の近鉄グループホールディングス(近鉄GHD)と主要取引銀行から、総額400億円の資金調達をすると発表した。
社債型優先株式による第三者割当増資で資金調達を実施し、6月末に96億5400万円(3月末時点)の債務超過の解消をはかる。
調達額の内訳は、近鉄GHDが150億円、三菱UFJ銀行が資金拠出する合同会社あかりが150億円、三井住友銀行が資金拠出する合同会社まつかぜが100億円の計400億円。それぞれから6月末に払い込みされる予定となっている。
同日に開いたWeb会見で米田社長は、昨年度の早い段階から債務超過回避のための資金調達を検討し、交渉を進めてきたことを明かした。検討を始めた経緯については「2020年3月期第4四半期に新型コロナウイルス感染症の第1波の影響を受け、74億円の当期純損失を計上した。これが最初のきっかけ。この時点で債務超過が視野に入ってきた」と説明した。
また、「2021年3月期第1四半期から早々に資本増強策を検討し始めた。今年2―3月に、主要取引銀行から合同会社のスキームを用いた策の提案を受け、お願いした」と語った。
併せて、2021年3月期連結決算を発表し、売上高は前期比77.2%減の878億8900万円、営業損失は270億8200万円(前期は16億800万円の損失)、経常損失は167億2700万円(同14億1500万円の損失)、当期純損失は284億5600万円(同74億4300万円の損失)と過去最大の赤字となった。
2022年3月期の連結業績予想は、売上高が1800億円、営業損失140億円、経常損失141億円、当期純損失148億円を見込む。ワクチン接種の拡充などにより一定の需要回復を想定しつつも、コロナ禍以前の水準程度への回復は望めないとみている。
また、オフィシャルスポンサーとなっている東京2020五輪の事業収益についても、海外からの観客受け入れ断念が既に決定していることなどから、「ないものと見込んでの数字」(米田社長)とした。