4月の宿泊業倒産3件 コロナ禍以降で最少(東京商工リサーチ調べ)
2021年5月14日(金) 配信
東京商工リサーチがこのほど発表した2021年4月の宿泊業倒産は3件で、新型コロナウイルス禍以降で最少となった。また、4月は全体の倒産も50年間で最少の477件となり、同社は「国や自治体、金融機関などの資金繰り支援の効果が見られた」と分析した。一方で、旅行業の倒産は3件(同1件)発生した。21年1~4月の累計件数は12件(前年同期13件)となり、低水準にとどまった。
宿泊業の4月の負債総額は19億1600万円(前年同月は179億8500万円)と前年同月比88・0%減で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。負債総額17億円以上の倒産が1件発生し、平均負債額は6億3800万円。
3件とも販売不振による破産。地区別では関東、中部北陸で各1件となった。
2021年1~4月の累計倒産件数は33件(前年同期は46件)。
主な倒産事例としてNAGAOKA管理(静岡県伊豆の国市)が3月31日(水)に東京地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は17億円。
さかなや旅館の商号で設立し、飲める温泉や駿河湾の海の幸を使った料理を提供する「さかなや旅館」を経営。10年頃には本社地の旅館を閉鎖し、別館のみを運営していた。18年7月には会社分割で別会社に事業を移管。19年3月31日には株主総会の決議で解散していた。
1987年にビジネスホテルとして設立したホテルニューシティー(群馬県館林市)は4月21日(水)に、前橋地裁太田支部から破産開始決定を受けた。負債総額は約2億円。
館林駅から徒歩5分の好立地にあったが、周辺で同業他社が参入してきたことで業績が伸び悩み、債務超過が続いていた。
20年以降は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で利用者数が大幅に減少した。休業と再開を繰り返して経営を続けていたが、3月12日(金)には事業を停止していた。
旅行業の4月度の倒産は3件(前年同月は1件)だった。21年(1~4月)の累計倒産件数は12件で(同7・6%減、前年同期は13件)で、低水準にとどまった。
負債総額は10億1700万円(同471・3%増)で、6カ月ぶりに前年同月を上回っている。
旅行業としては今年最大となる9億5000万円の負債となったハートフルインターナショナルの倒産が、全体を押し上げるかたちとなった。