岩手・湯川温泉の山人が暗号資産「シンボル(XYM)」決済対応へ
2021年5月20日(木) 配信
岩手県・湯川温泉で宿泊施設「山人-yamado-」を運営する山人(高鷹政明社長)はこのほど、新世代の暗号資産「Symbol(シンボル)」を使用した宿泊券の発行と、シンボルの通貨XYM(ジム)による決済への対応を始めた。コロナ後の観光産業の持続可能性を模索する取り組みの1つで、暗号資産の技術でデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進するのが狙い。
同社はこれまで、観光資源を紹介する動画配信や音声配信、EC事業の強化などコロナ後の需要回復期に向け取り組んできた。しかし、今後のさらなるDX化には既存の金融制度や商習慣の枠組みだけでは不十分だと判断。デジタル社会に即した新しいインフラをとして暗号資産の認知が広がることで、縮小する地域経済へ新たな持続可能性を提示することができると考えた。
「ブロックチェーンは今後、地域の中で実績を生み、利用する事業者が増えていくにつれ、相互に緊密に響き合う地域経済にとっての有効な事業連携基盤の1つとなっていくことが予想される。当社は、東北の山深い僻地の温泉旅館でありながらも、デジタル経済の将来を見据えた収益モデルの構築に挑戦することで、交流人口の増加や雇用機会の創出、持続可能な山里暮らしのありようを示していきたい」と意気込む。今後の暗号資産を活用した具体的な取り組みは、「宿泊利用権」の販売や福利厚生として社内通貨の発行、従業員の収入源多様化支援、国境を超えたクラウドファンディングなどを予定する。
担当者の佐々木耀支配人は「暗号通貨は歴史が浅く、世間では『怪しいもの』と思われているが、その技術を内側で支えているブロックチェーンの概念を知ると、私たちの身近なところでも多くの活用機会を見出せることに気づく」とし、「田舎であればあるほど、ユニークな取り組みを生みやすいと思っている。現実には普及にかかるコストが障壁となるが、BtoC領域における決済手段以外でのブロックチェーンの社会実装は例が少ないため、今回の取り組みが1つの事例になればと考えている」と述べた。
なお、対応記念キャンペーンとして6月15日(火)まで、専用フォームからXYM決済対応の宿泊券の申し込みを受け付けている。