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旅行新聞から新たに書籍発行 ― 業界人の知恵や肉声、姿を残す使命

2014年5月17日
編集部

 今年7月初めに、旅行新聞新社から2冊の書籍を発行する予定だ。

 1冊は、本紙で毎月21日号に連載しているジャーナリスト・瀬戸川礼子氏の「女将のこえ」の原稿を加筆、修正してまとめたもので、「女将さんのこころ」というタイトルもこのほど決まった。今号12面にも「岩惣」の岩村玉希女将が登場しているが、約14年の間に162人もの女将を紙面で紹介したことになる。

 「女将さんのこころ」では、第1弾として55人の女将が登場する。第2弾も同様に55人の女将を掲載する計画だ。女将の人生観、そして、お客様に愛される宿への強い想いがぎっしりと詰まった内容になっている。

 もう1冊は、2012年3月から13年9月までの約1年半、旅行新聞の1面で「いい旅館にしよう!」プロジェクトとして、内藤耕氏と旅館経営者との対談シリーズだ。15人の個性的な経営者が、それぞれの宿の経営について語り合った企画で、読者からも大きな反響を呼んだプロジェクトだった。「ぜひ本にしてほしい」「スタッフにも読ませたい」など書籍化を望まれる声も多く、ようやく発行できる段階まできた。

 「女将さんのこころ」「いい旅館にしよう!プロジェクト~対談シリーズ」ともに、観光業界、とくに旅館業界の第一線で活躍されている経営者や女将、さらに、現場スタッフの方々の手にとってもらえると、本当にうれしく思う。

 情報発信の手段は進化と多様化が進む。新聞や雑誌、書籍に比べ、テレビやラジオ、インターネットの方が即時性やライブ感のある情報発信や収集に分があるが、それぞれの媒体やツールはその特性を生かし、補完し合いながら存続を続けていくはずである。

 また、近年の特徴として、何か一つの出来事やコメントが話題になると、ネット上ではリアルタイムでさまざまな批判や議論が起こる。国家の安全保障問題から芸能ゴシップまで、ありとあらゆる話題で論争が日常的に行われている。テレビやブログ、ツイッターなどの「ひとこと」が引き金となり、誰もが参入可能な投稿サイトで多種多様な意見が飛び交い、熱がまだ冷めぬうちに、また次のネタへと議論が移っていく。

 このような情報に溢れた環境の中で、本紙も10日ごとの発行スタイルで有益な情報を提供できるように、日々地道な取材活動を行っている。観光業界の専門紙として基本に立ち返ることが大切だと痛感する一方で、新たな試みも行っている。

 地球の歩き方T&Eの国内旅行情報サイト「日本の歩き方」に旅行新聞の掲載記事や、その他の最新観光情報などの提供を行っており、可能性の広がるパートナーとの連携も着々と進めている。また、最近はテレビなどのメディアが本紙に観光業界の情報を求める機会も増えており、専門紙だからこそ得られる貴重な情報を広く一般消費者に発信していくことも、もっと力を注いでいかなければならない課題の一つだと捉えている。

 今回2冊の書籍発行を目指しているが、ネット時代のなかでは、本があまり読まれなくなっているということもしばしば耳にするが、現在に生きる業界人の知恵や肉声、ありのままの姿を残しておくことも、業界専門紙としての重要な使命だと感じている。

(編集長・増田 剛)

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