全旅連青年部 コロナ禍で「今、宿がやっていること」リポート 「食事の時間・内容の工夫」「チェックイン・アウトの柔軟化」など
2021年6月1日(火) 配信
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(星永重部長)はこのほど、コロナ禍で「今、宿泊施設がやっていること」について会員施設にオンライン調査を実施した。新たな旅のスタイルや生活様式が進むなか、「提供する食事の時間・内容に工夫」や「チェックイン・アウトの柔軟化」に取り組む施設が多いことが分かった。
また、厳しい環境のなかで、「経営体質の改善、見直し」と「地域間の連携強化」の必要性を強く感じている結果となった。
オンライン調査は今年2~3月に実施し、270施設が回答。新型コロナウイルスの影響で、売上高が前年比40~100%減少した施設は全体の74・8%を占めた。このような厳しい状況のなか、新たな取り組みも始まっている。
「提供する食事の時間・内容に工夫」している施設は56・7%(複数回答)と最も多かった。従業員と宿泊客の安心安全のために、個室や客室での提供を増やしたり、感染対策を強化した提供方法に変えたり、さまざまな工夫がみられる。
次いで、「チェックイン・アウトの柔軟化」(29・6%)、「ワーケションやリモートワーク向けのプランの開発」(26・7%)と続く。
コロナ禍以降、前向きになれた瞬間については、「客足が戻り始めたとき」が70・0%、「お客様から『ありがとう』『来てよかった』などの声を掛けられたとき」が69・3%(いずれも複数回答)という結果に。
□「旅行者への批判をやめてほしい」の声も
一方、今後お客や多くの人に期待すること(複数回答)では、「気に入った施設への口コミ拡散や再訪」(49・6%)がトップ。「旅行者への批判をやめてほしい」(48・9%)にも、多くの声があった。
さらに、「従業員への温かい声掛け・励まし」が42・2%と、自社スタッフへの気遣いが感じられる。また、「来てもらえるだけでも十分」という切実な声も35・6%に上る。
コロナ禍の厳しい環境において、今後事業者に求められること(複数回答)では、「経営体質の改善、見直し」と「地域間の連携強化」が、ともに64・4%で最も多かった。マイクロツーリズムの定着に向けて、地域と連携した集客やプラン開発などに着手する傾向がみられる。
「団体中心から個人中心への転換」を上げる施設は45・2%。「小さな旅館ならではの対応強化と、より個人客向けへのシフトチェンジへのいい機会と捉えている」といった意見もあった。
「趣味の分野を宿泊と連携することで、コロナ禍でも底堅いニーズがあると思った」や、「『いかに経費をかけずに集客するか』を従業員にアイデアを募り、実行している」など、コロナ禍でも前向きな姿勢を貫く施設も多いようだ。