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スペイン、新指標で安全はかる 5月から日本人も隔離なしで入国可 スペイン政府観光局ハイメ・アレハンドレ局長に聞く

2021年6月16日
編集部:木下 裕斗

2021年6月16日(水) 配信

ハイメ・アレハンドレ局長。減少傾向にある感染状況を踏まえ、 安心して旅行できることをアピールした

 スペイン政府は5月24日(月)から、日本とイギリスからの入国者について、隔離とPCR検査の陰性証明書なしでの受け入れを始めた。さらに、6月7日(月)からは、ワクチンの接種や新型コロナウイルスの陰性を示す証明書などを持つ全世界の観光客の入国も認めている。新規陽性者数が減少傾向にある現地の受入環境や、第3者機関が感染対策の実施状況を確認することで安心を確保する新たな指標「セーフツーリズム認証」などについて同国政府観光局のハイメ・アレハンドレ局長に聞いた。

【木下 裕斗】

 ――コロナ禍による観光への影響は。

 新型コロナウイルスの拡大で政府は2020年3月14日(日)、国内全土に食料品の買い物や通院など生活に必要な移動のみを認め、従わない人には罰則を科す非常事態宣言を発出しました。このため、コロナ禍以前には年間8300万人以上がスペインを訪れていた観光客数は、同年には前年比約90%減と大きく減少しました。

 政府は規制を段階的に緩和し、21年5月9日(日)に宣言を解除しました。併せて、国内と海外旅行が解禁となりました。

 新規陽性者数は21年6月15日(火)時点で、ピーク時の10%ほどまでに落ち着き、旅行が認められたあとも、減少傾向が続いています。2回ワクチンを接種した人は同日時点で、人口の約27・0%(日本は6月14日(月)時点で同2・03%)です。この状況を踏まえ、国内の観光業界は、旅行需要の獲得により注力しています。

 復興を後押ししようと政府は5月24日(月)に、日本とイギリスからの渡航者に、隔離やPCR検査の陰性証明書なしでの受け入れを再開しました。以前にはオーストラリアやイスラエル、中国などからの来訪者にも同様の措置を講じています。

 6月7日(月)からは、ワクチンの接種やPCR検査の陰性を証明する書類などを提示する全世界の人へ対象を広げました。

 スペイン政府観光局では、プロモーション「You Deserve Spain(ご褒美旅行はスペインへ)」を行っています。過去に旅行した若者や家族、シニアなどにビーチリゾートや観光名所巡り、自然などをアピールします。

 ――受入環境が変化したことはありますか。

 全世界からの入国者は、新型コロナウイルスの流行前と同様に、列車やバスなどでの自由な移動とホテルに宿泊をすることができます。

 なお、拡大防止措置として、一部観光地は入場者数に上限を設けています。一部州では、飲食店の営業時間を午前0時までと定めていますが、アルコールを含めた食事を楽しむことができます。同措置は感染者数の減少に合わせ、緩和傾向にあります。

 ――人流の増加に合わせて、どのような対策を講じていますか。

 政府は国内を移動するすべての人に、マスク着用や手指消毒、うがいなどの対策を呼び掛けています。基本的な内容は日本と同じです。

 観光省の観光品質管理局は今年、観光業に対して、ソーシャルディスタンスの確保や、疑わしい症状がある場合の出社自粛をはじめ、眼鏡や携帯電話などの個人所有物の多頻度消毒、物品共有の回避などを推奨する「新型コロナウイルス感染症拡大防止ガイドライン」を策定しています。

 さらに、同局は拡大防止策への品質・衛生管理認証制度「セーフツーリズム認証」を付与しています。検査・認証会社の「SGS(エスジーエス)」などが認証申請時に、実施状況を確認することで、安心・安全を担保します。

 同認証を受けるには、は会社内に新型コロナウイルス対策を講じる安全衛生管理部門などの設置が定められています。

 このほか、制服や客室の布製品などは60度以上の水で洗うことや、消毒液の希釈割合は漂白剤1に対して50倍で薄めること、手袋にウイルスが付着したことを想定した外し方――など細かい対策も求められます。

 国内では97軒を経営する国営ホテルパラドール(歴史的建造物を改修した宿泊施設など)が同認証を取得し、海外からの宿泊客をもてなしています。

 政府がさまざまな安全対策を講じており、ワクチン接種率も他国と比べて高いことから、日本人に自粛生活からのご褒美として訪れてほしいと思っています。

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