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訪日2千万人へ提言、国が対応すべき課題を指摘(JATA)

2014年6月1日
編集部

需要の地域分散へ施策必須

 日本旅行業協会(JATA)は4月30日、旅行業界全体の問題点を整理した「訪日外国人旅行者2千万人達成に向けた提言書」を作成し、観光庁へ提出した。6月に政府が改訂版を発表する「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」への反映を目指す。

 JATAでは訪日旅行委員会のなかに「2千万人受入対応部会」を設置し、訪日2千万人達成へ向けて、業界の問題点の掘り起しと整理をしてきた。今回の提言はJATAが考察する「国が主体となり対応すべき課題」をまとめたもので、国内・訪日旅行推進部の興津泰則部長は5月14日の定例会見で「JATAが対応すべき課題は別途、継続的に議論していく」と説明した。越智良典事務局長は「バランスの取れた非常に立派な提言だと受け止めていただいた」と感触を語った。

 提言の中身は「主要な課題と対策の方向性」と、「具体的な施策検討項目」に分けて整理。「主要な課題と対策の方向性」では、(1)インフラ整備の目標設定(2)段階的目標設定による優先順位の明確化(3)旅行需要の地域への分散(4)人材投資の促進(5)バランスへの留意(6)グランドデザインの策定――にまとめた。

 「インフラ整備の目標設定」では、ピークシーズンの貸切バスやホテル、通訳案内士などの基本的インフラのキャパを検証し、需要ギャップを補う拡充施策と短期間での対応が困難な場合に代替施策の明示を挙げる。「旅行需要の地域への分散」では、訪日需要が大都市に集中すると、キャパシティを超え、2千万人達成のボトルネックになることを懸念。ある試算によると、訪日外国人2千万人のうち30%は東京を訪れるという。平均泊数は3泊で、1日1万室の不足が生まれるという。この試算は旅館を含んだもので、外国人のホテル希望率の高さを考慮すると、部屋数の逼迫はさらに増す。地域へ需要を分散させるための実効性のある施策を講じ、旅行者の多様なニーズに対応する必要がある。

 一方、「具体的な施策検討項目」では、(1)地域空港に直接イン・アウトするグループ客需要の誘発(2)FIT旅行者の地域訪問促進に向けたプロダクト開発促進(3)民間における訪日旅行受入のための人材投資(4)MICEにおけるミーティング、インセンティブの誘客強化(5)教育旅行を中心とした国際交流の促進(6)ツアーオペレーター品質認証制度の活用促進――を掲げる。

 「地域空港に直接イン・アウトするグループ客需要の誘発」では、需要の地域分散をはかるため地域空港に直接乗り入れる航空便を利用したグループ客需要の誘発が重要とし、需要の地域分散に資する商品開発への「公的助成制度」の強化や、地方空港でのCIQ(税関、出入国、検疫)の対応能力の拡充や柔軟な運用体制の確立などを提案する。

 「FIT旅行者の地域訪問促進に向けたプロダクト開発促進」では、地域へのアクセスが課題になると、スマートフォンでの多言語案内など公共交通の利用促進に向けた情報インフラの充実を提起。また、個人で参加可能な着地型商品の開発と流通促進や、国立公園の利用促進なども提案する。

 また、「MICEにおけるミーティング、インセンティブの誘客強化」のなかでは、MICEの施策がコンベンションに偏っている現状を指摘し、継続的な需要拡大へ大きな要素となるインセンティブへの注力を提案している。

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