HIS第2四半期決算、売上高8割減 旅行事業以外の成長で安定へ 国内1600億円規模目指す
2021年6月17日(木) 配信
エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄会長兼社長)が6月11日(金)に発表した2021年第2四半期(20年11月~21年4月)連結決算によると、コロナ禍で主力の旅行事業などが大きな影響を受け、売上高は前年同期比80・4%減の676億5100万円と過去最大の減収になった。海外から国内旅行にも重点を置き、売上高を1600億円規模に伸ばす。さらに、旅行事業以外の規模も拡大させることで、安定した経営を目指す。
店舗閉店などで費用削減に努めたが、営業損失が310億8300万円(前期は14億6900万円の損失)、経常損失は307億1300万円(同7億6000万円の損失)、四半期純損失は232億600万円(同34億5900万円の損失)と赤字幅は大幅に拡大した。
事業別では旅行事業の売上高が同91・3%減の290億1800万円、営業損失は180億円(同16億7600万円の損失)。各国の渡航制限措置などで、主要の海外旅行が甚大な影響を受けた。
これを踏まえ、同社は単体の約3割に当たる最大1500人を外部に出向させ、経費を削減する計画だ。
さらに、「コロナ禍のような危機が再発生しても安定した体制を構築する」(澤田会長)とし、これまで全体の約30%を占めていた旅行以外の事業を50%以上に成長させる考え。
具体的には、エネルギー事業の新たな柱として従来の約20%の額で製作できる太陽光パネルの販売や、経営の継続が難しい宿泊施設の再生事業、日本の少子化による労働人口減少を踏まえた、海外からの人材派遣業などを強化する。
旅行事業は店舗数を97軒減らし、ネット販売を強化することで、再成長をはかる。とくに、海外旅行は24年度に20年時点で約32%を占めたオンライン売上を50%に伸長し、店舗を約37%まで縮小する。
今後の旅行市場の見通しについては、「国内が多くの人がワクチン接種を終える8月から需要が戻り始める」(中森達也取締役)と予想した。
国内旅行は24年までに、売上高を19年度の383億円から約4倍の1600億円に成長させ、バランスの取れた収益構造を構築する。
海外と訪日旅行は22年春ごろから需要が増えていくと予測した。
海外の業績が19年度と同水準に戻るのは23年度と見込む。方面別ではハワイ・グアムからアメリカ本土、ヨーロッパの順とした。訪日は、欧米などワクチン接種率の高い国から戻ると見越している。
澤田会長はコロナ禍で合理的な算定が困難なため、来期予想は未定としたが、「今期が最低。今後は復活に向かう。22年度は黒字化する気持ちでいる」と強調した。