「コロナ禍の五輪」を成功させる デジタルを最大限に活用(観光庁長官会見)
2021年6月17日(木) 配信
観光庁の蒲生篤実長官は6月16日(水)に開いた会見で、東京オリンピック・パラリンピック(以下、五輪)について「コロナ禍においての五輪を成功させることが重要」と力を込めた。外国人観光客がいないなかでの開催となった今大会。大会の映像を世界に配信することで開催国への関心を高めてもらうのが従来のオリ・パラのパターンだとして、「4年前より大きく進化しているデジタル技術を最大限活用していく」考えだ。
蒲生長官は、「オリ・パラの開催に向けてさまざまなものを準備してきた」とし、外国人の受入環境整備や、ユニバーサルデザインのまちづくりなどを例に挙げた。こういった環境整備が、「今後の日本の観光に“コロナレガシー”として役立つのではないか」と見ている。
□県民割は新たに5県が交付決定
「地域観光事業支援」の県内旅行の割引事業に対する支援状況を発表した。15日(火)時点での交付申請は28県。山形、福島、新潟、福井、鳥取県の5県に対し、新たに交付決定を行った(計18県)。
地域観光事業支援に追加措置として加えられた「宿泊事業者による感染防止対策などへの支援」には、38府県からの交付申請があったと報告した。うち交付決定を行ったのは、東北4県、関東3県、中部3県、近畿5県、中国2県、九州4県の計21府県。
この支援では、各都道府県が行う、宿泊事業者が感染拡大防止策の強化に取り組むときの費用を財政支援する。
□Go To再開向け、接種率も議論に
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会が6月15日(火)に開いた通常総会で、青年部は「国内のワクチン接種率が55%となる見通しの9月中旬を目途に、Go Toトラベル事業の再開を求める働きかけを行いたい」との意向を示した。
蒲生長官はこれについて、「Go Toトラベルの再開基準として定めているのは感染状況のステージ」とし、「ワクチン接種率と感染状況のステージの因果関係についての議論は、日本ではまだ行われていない」と述べた。そのうえで「全旅連青年部の提言や提案が、議論へ一石を投じていくことになるのでは」と期待感を示した。
□帰国後に14日間、日本の隔離緩和は
スペインは5月21日(金)、ワクチン接種済みの渡航者に対し、入国制限を解除したことを発表した。
一方で、日本からの入国者も受け入れているものの、日本への帰国時には14日間の隔離措置が行われる。アウトバウンド商品を販売している旅行会社からは、隔離免除を求める声が出ている。
蒲生長官は「ワクチン接種率と感染状況ステージの改善が見られたら、各省庁間で水際対策についての議論が行われると思う」としたうえで、「旅行、宿泊事業者のニーズをヒアリングしたうえで、改善の方向性について注視していく」方針だ。