〈観光最前線〉動かされながら鑑賞する
2021年7月1日(木) 配信
トーハク(東京国立博物館)の国宝「鳥獣戯画」展に。甲・乙・丙・丁、4巻、全場面が観られる貴重な機会。本体と切り離され、掛軸などに仕立て直されて伝来した断簡や、原本では既に失われた場面を留める模本も展示するという、贅沢な展覧会だった。
同絵巻は、作者も、描かれた当時の姿も、何もかもが謎に包まれている。正しい場面展開すら分からないので、解釈も難しい。
今回は、有名な甲巻を動く歩道に乗って鑑賞するという、不思議な体験も。有名な絵は誰も彼もが長時間滞在するうえに、空いた隙間に後から人が入ってくるから、観る前に疲れてしまうのが難点だった。もっとゆっくり堪能したいと思う反面、効率的に観られるから悪くない。新しい鑑賞のカタチになるのか、注目だ。
【後藤 文昭】