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【特集No.586】ON・ガス推進機構×旅行新聞 国立公園の魅力共創へ

2021年7月9日
営業部:後藤 文昭

2021年7月9日(金) 配信

 ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構(涌井史郎会長)と旅行新聞新社(石井貞德社長)は連携し、日本各地の国立公園の物語を紡ぎ、多彩な魅力と遊び方を発信する人材の育成を始める。国立公園とその恩恵によって成り立つ温泉地に訪れる人を増加させ、地域の活性化につなげることが狙いだ。両者は、国立公園や温泉地の魅力発信と、活性化に資する活動を進めるにあたり未来像を語った。

物語を紡ぐ人材を育成

 ――涌井会長は環境省の国立公園満喫プロジェクトの座長も務められています。日本の国立公園の魅力は、どういったところですか。

 涌井:日本と世界の国立公園の違いは、「1枚の絵ハガキ」で語れるかどうかです。日本の場合、国公有地、民有地と分けずに保護すべき場所に線を引いているので、国立公園内に「人の営み」があり、四季もあり、「1枚の絵ハガキ」では語りつくせない美しさがあります。人と自然がともに共創し合ってきたランドスケープが魅力であるとともに、他にはない特徴です。

 ポストコロナ時代は、「自然共生」と、エネルギーと物質の「再生循環」抜きには語れない世界が再構築されると考えています。こうしたなかで日本人が厳しい自然と対峙しながらどう共生してきたか、英知を文化的に学ぶ要素も日本の国立公園にはあると思っています。

 ――亀澤専務理事は、元環境省自然環境局長の立場から、機構内で国立公園の活用策を考案されています。

 亀澤:海外の国立公園は、大自然を堪能するだけの場所だと思います。

 一方、日本の国立公園は、涌井会長のおっしゃられるように「人の営み」があり、文化や歴史、農林水産業などとの関わりも見られます。 

 しかし、アメリカのように、1つの区域としてまとまって指定するのではなく、複数の地域を束ねて1つの国立公園として指定しているので、一般の人にとってはまとまりがなく、分かりにくくなっているのではないでしょうか。

 どう地域を一体化させPRするかがこれからは重要なので、国立公園の目線で、見直しをはかりたいです。

 ――石井社長は専門紙を通じ、観光業界の情報を発信しています。観光業界のなかでの国立公園の立ち位置をどう捉えていますか。

 石井:国内に34の国立公園がありますが、観光への活用は進んでいません。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、消費者の「自然」への注目が高まっています。今、両者で連携して「国立公園」の活性化への取り組みを始めるのは、時宣を得ていると思います。

 ――小川理事長は、昨年からONSEN・ガストロノミーツーリズムを通じた国立公園の活性化についてお話をされています。

 小川:ONSEN・ガストロノミーツーリズムは、定住人口や交流人口が減少することで衰退が進む温泉地や、国立公園の活性化を使命に立ち上げました。
 2016年にスタートし、19年までに日本各地、台湾を舞台にイベントを70回開催し、2万人に参加してもらいました。参加者からも、とても高い支持をいただいています。

 イベントを通じて改めて温泉地と国立公園が切り離せない関係であることを強く意識できたので、これからは「国立公園のファンづくり」がしたい。そのために、長期滞在ができる環境づくりなども進めていきます。

 ――ファンづくりというお話がありましたが、具体的な構想は。

 亀澤:我われと旅行新聞新社でこれから挑戦したいことは、「語り部」の育成です。国立公園を世の中に浸透させていくには、それを担う人をどう育てるかがカギになります。全国の温泉宿の女将さんや、観光施設の関係者などに、国立公園や温泉地での楽しみ方に長けた存在として、国立公園と人を結び付ける存在になっていただく。そのための認定講座と試験を計画しています。もちろん、語り部は、観光業界に関わりの無い方も歓迎します。

 自然以外に、歴史や食など、幅広いネタを深堀りし、提供することが、我われが育てたい人材と既存のガイドとの違いになります。

 コロナ禍で遠出が難しい状況になり、多くの人が自分の住んでいる地域に目を向けるようになりました。ONSEN・ガストロノミーツーリズムのイベントでも主催者が改めて地域を歩き、今まで気が付かなかった魅力を発見しています。自分が住む地域だけでもたくさんの発見があるならば、これまで目を向けていなかった国立公園では、もっとたくさんの発見があると思います。……

【全文は、本紙1837号または7月15日(木)以降、日経テレコン21でお読みいただけます】

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