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「ONSEN・ガストロノミーツーリズムコラム」 旅と国立公園の関り(亀澤玲治)

2021年8月6日(金) 配信

野焼き後の阿蘇・米塚

 とある週末の新聞。コロナ収束への期待もあってか、秋にかけてのツアーが全面広告で載っている。

 洞爺湖、万座温泉、石垣西表。それぞれ、支笏洞爺、上信越高原という国立公園の代表的なポイントであり、石垣西表は国立公園の名称そのもの。なのに、国立公園の文字は見当たらない。

 日本の国立公園は、入場料を払うわけでもなく、区域も飛び飛び。捉えどころがなく、セールスポイントにならないということなのか。

 国立公園には、礼文島、槍ヶ岳、縄文杉あるいは小笠原といったアクセスも大変な大自然だけでなく、歴史あり文化あり、そして人の営みがある。日光東照宮は日光国立公園の、伊勢神宮は伊勢志摩国立公園の核心部にあるし、三陸復興国立公園、瀬戸内海国立公園などには養殖いかだが浮かぶ景観がある。

 阿蘇くじゅう国立公園の雄大な草原は今も野焼きにより維持され、放牧される赤牛はヘルシーな赤身肉として人気。西海国立公園の五島列島特産の椿油を練り込んだ五島うどんなど個性豊かな食は枚挙にいとまがない。城崎は山陰海岸国立公園、酸ヶ湯は十和田八幡平国立公園など温泉も数あまた。

 国立公園にはニッポンが凝縮されている。コロナ後のインバウンドの増加も視野に入れれば、日本の旅の味わいを広げる「国立公園」という新たな切り口が欠かせない。

 

【亀澤玲治】

ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構専務理事

環境省で野生生物課長、自然環境計画課長、九州地方環境事務所長等を経て

2016年6月から18年7月まで自然環境局長。国立公園の魅力向上と発信強化を

目的とした「国立公園満喫プロジェクト」をスタートさせ、国立公園を抱える

地域の活性化に力を注いだ。

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