玉川大学 寺本潔教授「地理認識の教育学」出版 観光が貢献する教育記す
2021年8月12日(木) 配信
玉川大学教育学部の寺本潔教授はこのほど、帝国書院から「地理認識の教育学―探検・地理区から防災・観光まで―」を出版した。地理教師の浅井治平が旧制の中学校で取り組んだ修学旅行などに触れたうえで、観光が貢献できる地理教育について記している。
同書は全7章立て。第1章の「子どもたちにとっての『場所の体験』と空間認識の発達」では、小学生が自宅から地域の学校や商店、公園などの場所を結ぶ道を知ることで、人間として成長すると論じている。
「地理区:国民科地理の再評価」と題した第2章は、第2次世界大戦中にスタートした国民化地理の教科書「初等科地理」について、現在の産業や気候、人口など単元別の学習のほか、東京から各地域に移りながら各地域の産業や交通などを学ぶ同教科書が地理の理解に役立つとしている。
第3章は「修学旅行史:浅井治平による旧制中学における修学旅行指導」。地理教師の浅井治平氏による、より深く地域の地理と歴史を学ぶことを目的とした修学旅行について説いた。
「防災:防災の地理認識と社会資本の役割」がタイトルの第4章では、近年、頻発する自然災害を踏まえ、小学校で地理を通して、実践的な対処法を指導することを訴える。
第5章「観光―その1:教育旅行で培う地理認識と観光教育」は、教育旅行で業界の仕事を勉強する観光教育の意義を説明している。
第6章のタイトルは「観光―その2:実践的な観光教育のための5つの教材コンテンツ」。前章で説いた観光教育を実施するために、業界を6つに分けた分類表や地域の年表などの教材を紹介する。
第7章は、「観光―その3:観光産業を支える情報の働きの授業」は、弥生小学校(北海道函館市)が、観光産業が、地域ブランド調査で第1位を6回獲得した同市について発信することが、観光客の増加につながることに触れた。「観光など身近な産業の学習は、今まで以上におもしろい授業を展開できた」と観光教育の成果も強調する。
寺本教授は「小学生に地域の地理を認識することで、観光先進国をけん引する人材を輩出してほしい」の思いを込める。
A5判135ページ。本体2420円(税込)。