【特集No.590】㈱全旅が新サービス展開 業務の生産性向上と売上増狙う
2021年9月10日(金) 配信
㈱全旅(中間幹夫社長、東京都中央区)は5月19日(水)、店舗での販売が中心の全国旅行業協会(ANTA)の会員などを対象に、ホームページを開設する事業「Tabito(タビト)」を始めた。7月21日(水)には、消費者がオンラインで予約できるシステムを構築するサービス「BtoBtoC」をスタートした。旅行商品の販売や宿の在庫管理などの業務をIT化することで、「業績の向上につなげてほしい」考えだ。新サービス展開の背景や今後の課題などを取材した。
□中小旅行会社のIT化支援 店舗での“顧客対応”効率化へ
コロナ禍で不要不急の外出自粛が呼び掛けられるなか、多くの旅行会社の売上は2019年比で、大幅に減少している。観光業界を再活性化しようと、政府は昨年の7~12月に、Go Toトラベルキャンペーンを展開した。
㈱全旅の中間社長は今年6月に開かれた埼玉県旅行業協会(浅子和世会長)の通常総会で、「(新型コロナウイルスの拡大前から)航空券や宿泊予約、ツアー商品などについては、インターネット販売がシェアを伸ばしてきた」と強調した。
そのうえで、「〝Go To〟では、接触機会を避けようとOTA(オンライン旅行会社)の利用が飛躍的に増えた。一方、店舗中心のANTA会員への恩恵は僅かだった」との認識を示した。同社の調査によると、自社ホームページを開設しているANTA会員は、約半分ほどだ。
会員の多くは現在、来店客にパンフレットや契約書などを刷ったうえで、旅行商品を販売している。
◇09年に一部IT化店舗での印刷課題
㈱全旅は1976年、旅行会社から受入施設に支払う料金を保証する目的で全旅クーポン制度をスタートした。その後、さまざまな制度改革を重ね2019年には、航空券・宿泊施設などをオンラインで予約でき、全旅クーポンで自動決済可能なBtoBサイト「Trip全旅」を追加した。
消費者がネットで航空券と宿泊施設の予約と決済ができるサービス「BtoBtoC」は、この「Trip全旅」を活用する。
全旅クーポン会は8月6日(金)現在、ANTA会員約5400社のうち、約2800社が加盟しており「Trip全旅」を利用している。なお、日本旅行業協会(JATA)会員の契約社数も約110社ある。19年度の取扱高は約400億円を計上したが、新型コロナウイルスの拡大で20年度は約150億円と減少した。
クーポン機能拡大誰でもサイト創設可
BtoBtoCの一般利用客は、OTAなどのオンライン販売と同様に、会員各社のホームページから航空券・宿泊施設を予約し、㈱全旅のカード決済サービス「全旅ペイメント」で代金を支払うことができる。
申込客の会計完了後に、旅行会社が行う受入施設への手配連絡業務をオートメーション化し、旅行会社が受入施設に支払う代金については、BtoBtoCシステムが全旅クーポンを用いて自動で精算する。
営業推進本部の中森万登本部長は「低廉な利用料で誰でも旅行ECサイトを創設できる」と自信を見せる。……
【全文は、本紙1841号または9月14日(火)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】