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静岡県・西伊豆町 星野淨晋町長に聞くコロナ禍のロケ誘致 ~ロケを通じ持続可能な地域づくり~

2021年9月13日
営業部:後藤 文昭

2021年9月13日(月) 配信

日本の夕陽百選にも選ばれる西伊豆の夕陽

 有名な観光施設がない、知名度が高くないなどの悩みを抱える地域が、観光業でまちを盛り上げ地域を活性化する手段になると期待するロケツーリズム。

 コロナ禍で家で過ごす時間が増え、メディアでの露出が大きな宣伝効果を生み出している地域もある。

星野淨晋町長

 静岡県・西伊豆町は、緊急事態宣言下に人の往来を抑制し、感染症対策を熟考。町民の協力を得ながら、ロケ誘致を進めている。星野淨晋町長に西伊豆町の取り組みを聞いた。

 ――ロケ誘致に対する星野町長のお考えを教えて下さい。

  町民に「自分たちのふるさとや住んでいる場所に、自信と誇りを持ってほしい」という思いから、ロケ誘致に力を入れています。

 西伊豆町は風光明媚な場所で、山、川、海、夕陽がありますが、住民の目線で見ると、見慣れたものには価値やありがたみはなく、ごく当たり前になっているのは否めません。

  しかし、こうした美しい風景の素晴らしさがテレビなどの映像を通して流れてきたら、見る目が変わると同時に、自分たちの住んでいる場所の素晴らしさを見つめなおすきっかけになるのではないかと思います。

 我われがまちの素晴らしさをPRしても伝わりにくいですが、メディアを通じてなら伝わると考えたことが取り組みを始めた理由の1つです。

 また、全国の皆さんに西伊豆の素晴らしさを少しでもお伝えし、「観光に行きたい」、「一度訪れてみたい」と思っていただくきっかけをつくることも目的です。

 若い世代の人口が減少傾向にあるなか、ロケツーリズムを通じ地域の素晴らしさを見つめ直すことで、最終的には1人でも多くの子供が町に住み続ける、あるいは外からの若い世代の移住者が増えることになれば、持続可能な地域づくりにつながるのではないでしょうか。その動機付けとしてロケを誘致し、メディアでの露出を増やすことは最適だと考えています。

 ――コロナ禍でロケ誘致が難しいなか、町としてどのような対策をしていますか。

 観光は、外からのお客様を受け入れることで成り立っているので、一歩間違えれば観光事業者と地域住民とで軋轢が生じると考えました。

 西伊豆町は当時、高齢化率49・9%で、約2人に1人が高齢者でした。高齢者が感染すると重症化すると言われ、高齢者の危機感は大変なものであったと思います。

 町としてはまず、観光業に従事する人と住民の方の意思の乖離を防ぐため、昨年の4月8日から1カ月、国の緊急事態宣言に合わせ、町主導で町民外の来町の遠慮を告知し、外からのウイルス持ち込みを遮断することにしました。

 併せて、これによる経済的ダメージを財政支援で賄い、双方が理解し合える状況をつくりました。これにより時間的余裕や、今後の対策を検討する期間ができたので、コロナの特性を踏まえつつ施策を行っていきました。

 結果、学校の再開も県内で最も早く、海水浴場を開設するなど、昨年の緊急事態宣言明け以降は順調に来客を受け入れながらも、町内での軋轢などはなくスムーズに行政運営ができています。

 また、仮にコロナ陽性者が出たとしても、保健所の疫学調査以上の対策を取り、拡大を最小限に収めているので、町民からの不満もなく、観光地西伊豆町としてお客様のお迎えができています。

 ――緊急事態宣言解除後、真っ先にロケの受け入れを再開されたとのことですが、成果は。

「ゆるキャン△ 」 ロケ地看板を設置

 5月14日に静岡県の緊急事態宣言解除後から準備を始め、7月1日にはロケツーリズムキックオフセミナーを開催しました。7月には、瀬浜海岸、堂ヶ島公園、黄金崎にアニメ「ゆるキャン△」のロケ地看板も設置。9月10、11日には映画「たぶん」のロケハンツアーがあり、実際映画の撮影も行われました。また、ロケ地情報は町の広報誌を通じ、町民にも積極的に発信をしています。

 コロナ対策を着実に進めている町の対応がメディアに数多く取り上げられることで、「自分の住んでいるまちが取り上げられている」とうれしい気持ちをもった町民が、ロケなどに協力的に対応してくれています。

 行政としては、できる範囲ではありますがロケ隊の要望に応えられるよう努力をし、それが巡り巡って町民のためになるという気構えで対応させていただいております。

 ――思い描く未来の西伊豆町のロケツーリズムを教えてください。

 誰もが気安く、気兼ねなく訪れることができる町、町民が誇りと自信を持って暮らせる田舎町、移住しようと思ってもらえるような町を目指していきたいと思います。

西伊豆町おすすめロケ地

 漫画「ゆるキャン△」などに登場するキャンプ地や、景勝地の黄金崎、堂ヶ島・乗浜海岸など、海岸線はどこもおすすめです。映画「弱虫ペダル」の撮影場所になった西天城高原からは、眼下に海を見下ろし、時間によってはそこに夕陽が沈みこむ風景も見ることができます。

 隠れたスポットでは、映画「真夏の方程式」の撮影で使われた浮島海岸があります。

 所有者の許可が得られた場合は、採石場跡地も特撮映画などのロケ地としておすすめです。

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