「ONSEN・ガストロノミーツーリズムコラム」 地図の中の国立公園(亀澤玲治)
2021年9月14日(火) 配信
かつてはほとんどの地図帳に国立公園の区域表示があったのではないか。記憶は定かでないし、今や確かめようもないが、今はどうなっているのか。大手書店で立ち読みしてみた。6社の地図帳のうち国立公園の名前と区域の両方が入ったものは2つだけだった。
今やデジタルの時代。グーグルマップに国立公園の区域が表示されるようになった。昨年の終わりころ、国立公園に関する調べものをしているときは表示されていなかったので、今年になってからのことのようだ。改めて検索してみると、今年3月末に、環境省がデータをグーグル社に提供して実現したとの発表が見つかった。
広く、飛び飛びの区域を持つ国立公園でも公園名の表示は1カ所にしかないことや、その気で見ないと色の違いが分からないことなど課題はあるし、海の区域が表示されないためか、海を主体とする瀬戸内海国立公園の区域だけ表示されていないのは残念であるが、大きな前進には違いない。
デジタル表示が実現したとなれば、カーナビとの連動も楽しみである。車を走らせながら、国立公園内かどうかが分かれば国立公園に対する関心も高まろうというものである。そのためにも、自然だけではない国立公園の豊かな魅力を、多様なカタチで地図上で伝えられるデジタルならではの技術に期待したい。
【亀澤玲治】
ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構専務理事
環境省で野生生物課長、自然環境計画課長、九州地方環境事務所長等を経て2016年6月から18年7月まで自然環境局長。国立公園の魅力向上と発信強化を目的とした「国立公園満喫プロジェクト」をスタートさせ、国立公園を抱える地域の活性化に力を注いだ。