緩和は事業者の「一筋の光」 観光振興策には慎重な姿勢も(和田観光庁長官)
2021年9月17日(金) 配信
観光庁の和田浩一長官は9月15日(水)に開いた会見で、新型コロナワクチン接種の進捗状況を踏まえた行動制限緩和に合わせた観光振興策について、「内閣官房や関係省庁と連携しながら、感染対策と経済回復を両立させた施策について検討を進める」と慎重な姿勢だ。ワクチン接種証明書の国内観光での活用については、観光関連業界との意見交換を踏まえ、今後の感染状況に注視して議論する意向を示した。
□ワクチン接種に伴い、観光振興施策の検討進める
和田長官は「(ワクチン接種による行動制限緩和は)観光関連事業者の皆様にとって、一筋の光と受け取られる方も多いと思われる。いかにして感染拡大を防止しながら観光振興をはかっていくのが適切か、観光庁としてもしっかり検討していく」と考えを示した。
また、9月9日(木)に開かれた政府新型コロナウイルス感染症対策本部で、「新型コロナワクチン接種の利用に関する基本的な考え方が決定された。この考え方を基に、業界別ガイドラインの策定なども視野に入れたい」(和田長官)。
日本経済団体連合会(経団連)は9月6日(月)、「ウィズコロナにおける社会経済活動の活性化に向けた提言」を政府に提出し、帰国・入国後隔離措置の適正化として、現行では14日間の隔離期間を最長10日に短縮することや、ワクチン接種者に対する帰国・入国後隔離期間の免除を求めた。
この提言について和田長官は「経済界における国際的な往来の再開に対するニーズが高いということを反映したもの」と受け止め、「待機期間の減免は水際対策にあたるものとし、政府全体で検討を進める」と述べた。
□第13回観光庁長官表彰を発表 受賞者は9件
観光庁では、「2021年度重点支援DMO」を新たに5法人、計37法人選定した。
和田長官は、「観光は地方創生の切り札と呼ばれている。人的交流を通じて地域の活性化をはかる方策であり、『稼げる地域』にしていく視点が必要」と考えを述べた。そのために、「人が訪問するきっかけとなるコンテンツ作りや、満足度を上げて観光消費を促す関係者との連携、戦略的に取り組む中核人材が不可欠。DMOが地域の司令塔として観光地域づくりに取り組めるよう支援に努める」と語った。
観光庁は会見同日、第13回観光庁長官表彰受賞者9件(団体7件・個人2件)を発表した。
選出された9件のうち、「燕三条 工場の祭典」の実行委員会は、燕三条地域に集まる「KOUBA」を開放し、日本のものづくりを伝える継続的な取り組みを進めた。2020年には、1カ月に渡りオンラインイベントを開いたことが受賞につながった。
受賞者は次の通り。
▽「燕三条 工場の祭典」実行委員会(新潟県三条市)
▽旅館甲子園、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(東京都千代田区)
▽バリアフリーネットワーク会議代表・親川修氏(沖縄県沖縄市)
▽いせん代表井口智裕氏(新潟県南魚沼郡)
▽豊岡観光イノベーション(兵庫県豊岡市)
▽八ヶ岳ツーリズムマネジメント(山梨県北杜市)
▽かまいしDMC(岩手県釜石市)
▽伊根浦地区農泊推進地区協議会(京都府与謝郡)
▽島根県隠岐郡海士町(島根県隠岐郡)