八重山観光100万人へ、研修強化でおもてなし向上
石垣市観光交流協会・高嶺良晴新会長に聞く
昨年3月の新石垣空港(沖縄県石垣市)開港で、石垣島をはじめとする八重山諸島の13年入域観光客数が約94万人と過去最高を記録。14年は100万人突破の目標を掲げるなか、現状の課題や今後の展望について、石垣市観光交流協会の新会長に就任した高嶺良晴氏(川平マリンサービス社長)に聞いた。
【土橋 孝秀】
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――新空港開港以来、八重山観光が絶好調ですね。
2013年の八重山入域観光客数は前年比32・2%増の94万2964人を記録した。ピークだった07年の78万7502人を大きく上回り、過去最高の数字となった。
新空港開港前には石垣市観光交流協会と八重山ビジターズビューローで総動員をかけて、全国各地でプロモーションを展開してきた。開港直後の3、4月は数字が期待ほど伸びなかったが、5月から増え始め、6月の格安航空(LCC)の就航、7月のスカイマーク就航で一気に観光客が増えた。
――受入態勢など課題は。
当初はレンタカー不足となったが、これはレンタカー協会が対処したほか、9月には新空港の隣にレンタカーステーションも完成し、現在、レンタカーの問題は解消されている。
ピーク時には客室不足も発生したが、全体の部屋数から見ると85%程度の入りだった。八重山の1日の収容人数は、民宿などを含め1万4千人。航空機の座席から計算すると入ってくるのは1日5千人弱。民宿などはホームページがないところも多いので情報が行き届いていない。協会に加入していない民宿や小さな宿がまだたくさんあるので、入会を強く呼びかけ、情報をきっちりと提供していきたい。
――おもてなし向上について。
07年のピーク時は観光の就業人口も確保されていたが、入域客数の減少にともない離職者が増え、今回の開港ブームで人材不足に陥った。結果、ホテルや観光施設の現場スタッフは、忙しさに追われ、おもてなしが不十分になったケースもあったと思う。
新規を増やすのも重要だが、リピーター率をいかに上げるかはもっと重要だ。満足されたお客様の口コミほど有効な宣伝効果はない。
協会ではこれまでも観光業従事者を対象にした研修を行ってきたが、今年度からはよりテーマを絞り、ホテルのレストラン接客に特化した研修など、業種別、部署別の研修に取り組んでいきたい。
――今後の展望は。
14年の入域観光客数の目標は前年比11・3%増の105万人を掲げた。石垣島の海はサンゴ礁がすぐ近くで見られたが、今は環境の変化で遠くまでいかないと見られない。「自然を守る」だけでなく、「自然を再生する」という取り組みが不可欠になっている。川平湾には電池を動力源としたEV船が導入された。レンタカーの電気自動車も数台導入されている。石垣市と連携しながら充電ステーションの設置にも取り組んでいきたい。
八重山の魅力はなんといっても豊かな自然と、ゆったりとした時間。私は川平湾でグラスボートを始め30年近くになるが、八重山の自然が疲れてきているように感じる。サンゴも移植できる時代になってきている。ちょっと歩いただけで自然と触れ合え、花が見え、サンゴが見え、熱帯魚が見える。そして夜には満天の星空とホタルの乱舞。そんな贅沢を味わえる観光地を、竹富町観光協会や与那国町観光協会などと手を取り合って、八重山全体でつくり上げていきたい。