群馬・四万温泉 宿泊施設の改装増加 地域活性化はかるため一新
2021年10月6日(水) 配信
群馬県・中之条町四万温泉でリニューアルオープンする宿泊施設が増えている。コロナ禍の最中であるが、時期を見定めて現地取材を行ってきた。今回は四万温泉初のゲストハウスとして生まれ変わった「スパゲストハウスLULUD(ルルド)」と、今年3月に館内全体をリニューアルした「四万温泉柏屋旅館」を紹介する。
【古沢 克昌】
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四万温泉で旅館を経営するエスアールケイ(関良則社長)は、2020年12月に泊食分離を基本とする「スパゲストハウスルルド」を開業した。廃業した温泉旅館「花の坊」を買い取り、リノベーションしてまったく新しい宿泊施設が誕生した。
源泉掛け流しの温泉とモダンなアートが融合する大浴場では、湯煙とともにミラーにアートが浮かび上がる内湯と、四万の自然を間近で感じられる露天風呂が愉しめる。滞在中は清掃時間以外いつでも入浴できる。
客室は1人での滞在からグループでドミトリーや和室での滞在が可能。宿泊料金は1人1泊5千円前後。最もリーズナブルに宿泊できるドミトリータイプのコンパクトシングルルームは男女混合と女性専用が各5室ある。ダブルルーム(2室)はモダンでシンプルな空間にダブルベッドとソファー、デスクを完備したミニマムなゲストルーム。宿泊人数(最大2人)に限らず部屋料金が固定となるルーム・チャージ方式を採用しているので2人で利用すればリーズナブルに、1人利用であればゆったりと過ごすことができる。広さ12・5―15畳(定員2―4人)の和室(13室)もルーム・チャージ方式のため、人数が増えるほど1人当たりの料金が割安になる。客室数は全25室。
宿泊総料金は部屋料金のほか、人数分の温泉施設利用料金、人数分の食事料金(プランで選択された場合)が加算される。
共用スペースには男女別シャワールーム、トイレ、レストルームのほか、シェアキッチンやランドリーもある。共用の冷蔵庫も使用できる。1階にはライブラリーコーナー「ブックケイブ」があり、館内で本を購入して読むこともできる。
食事ができるカフェ&ダイニング「シマノネ」は外部の飲食店が運営している。地元食材を生かしたオリジナルメニューや、群馬の飲食店の人気メニューを提供する。営業時間は午前11時30分―午後5時(※モーニングとディナーは予約制)。宿泊客以外でも利用でき、貸し切りで団体利用することも可能だ。
関社長は「湯治文化を現代風にアレンジして四万温泉の魅力を発信していきたい。既存の宿とは異なるスタイルで、四万温泉から湯治の新しい形態として『SHIN湯治』を提唱したい」と語る。
一方、柏屋旅館(柏原益夫社長)は、21年3月15日に館内全体をリニューアルオープンした。今年1月5日から旅館を全面休館し、リニューアル工事を進めてきた。
今回のリニューアルの目的を訊ねると、柏原社長は「19年の終わりごろから21年にリニューアルしようと考えていた。施設の老朽化も目立っていましたし、新たに食事処を作ることが最大の目的だった」と話す。これまで部屋食対応でやってきたが、客室に食事の匂いが残ることや客室にあまり出入りをして欲しくないという声も多くなってきたことから、時代の流れに併せて食事処を作る決断をしたという。
「当初はもっと開放的な食事処を考えていたが、間仕切りを置くなどして半個室タイプに変更した。プライベート空間も保ちつつ、スタッフとの会話も楽しめる快適な食事処になった」(柏原社長)。
食事の内容もリニューアルした。夕食はスタンダードプランのほか、上州和牛A5プラン、ヴィーガンプラン、料理少なめプラン、渓流魚中心のプラン、上州牛尽くしのグルメプランなどから選べるようになった。朝食は今まで通り、和食・洋食・柏屋カフェでのブランチから選択できる。和食・洋食では新鮮野菜を温野菜でいただく「温泉蒸し」が新登場。ヴィーガン用の朝食にも対応できるようになった。
客室は9タイプ14室に改装した。①露天風呂付き客室(花の間)1部屋②同(亀の間)1部屋③足湯テラス付き和室10帖(光の間)1部屋④デッキテラス付き和のついん3部屋⑤デッキテラス付き和室8帖(2階)3部屋⑥和のついん2部屋⑦デッキテラス付き和室8帖(1階)1部屋⑧2階のシングルルーム1部屋⑨デッキテラス付きシングル(1階)1部屋。
このほか、無料で何度でも利用できる3つの貸切露天風呂にバスタオルを常備した。要望が多かった、貸切露天風呂の使用状況が分かる点灯ランプも館内2カ所に新設して好評だ。
柏原社長は「今回のリニューアルを皮切りに柏屋カフェ2号店、旅館別館と集中投資をする予定だったが、少しようすを見ている。コロナ後を見据えて投資を始めている所も多く、勇気を出して次のステップを目指そうと思う」と現在の心境を語っている。