旅のUDアドバイザー開講1周年記念 「私の旅のユニバーサルデザイン」② 学び(情報)のアップデートが重要――介護旅行ナビ代表、鹿児島県旅行業協同組合ソリスター 堤 玲子氏
2021年10月23日(土) 配信
私は「介護旅行ナビ」という、1人では外出が難しい人に付きそう同行サービスを行っています。
また、鹿児島県旅行業協同組合と、ソリスター契約を結び、ユニバーサルツーリズムプランナーとして企画、手配をし、年齢や障害、性別に関わらず、多様な方が「旅行」を通して、生きがいや、楽しみをもっていただけるよう奮闘中です。
ツアーメニューは、お客様が「行きやすい場所」ではなく、「行ってみたい場所」を中心に造成しています。事前にお客様への配慮が必要なことを聞き取りさせていただき、いかにしてご要望を叶えるか知恵を絞ります。
排泄のことなど、ナイーブなこともお聞きしないといけないため、言葉を選びながら、失礼にならないよう心掛けています。
行程の作成には、目的地の段差の有無、トイレの設備など、事前調査に時間がかかるのですが、「私に旅ができるなんて夢みたい」などのお声がうれしくて、楽しく取り組んでいます。
なかでも「プレミアムな旅」と称して、小学生から高齢者、車イスや盲導犬ユーザー、LGBTの方もご参加いただいたツアーは、「通称、ごちゃまぜツアー」と呼ばれました。
大型リフト付きバスが満席となり、障害のあるなしに関わらず、くだもの狩りや、陶芸体験、古民家レストランでのランチを楽しんだ皆様が、まるで家族旅行のような温かい雰囲気で終了しました。
「次はいつ? また、行きたい」というお声があったにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症により断念せざるを得なかったのが、本当に残念でした。
でも、こんなときこそ、新しい時代に向けて動き出さねば、と「旅のユニバーサルデザインアドバイザー」を受講しました。
私は外出支援に関する資格を持ち、バリアフリーの勉強も続けてきたつもりですが、今回、受講して、学び(情報)のアップデートの重要性を感じました。
受講内容をヒントに、インバウンド向けのユニバーサルツアーの準備も始めています。いつか、この資格を、介護・福祉に携わる方々にも取得してもらえないかと妄想中です。私にとっての「旅のユニバーサルデザイン」とは、誰もが旅をする希望を失わないでいられる仕組みづくりなのです。
最後に、ことあるごとに思い出す、認知症と診断されたお客様の言葉を紹介します。
「昨日、何を食べたかを忘れても、明日、どこに旅をするかの自由まで手放すわけにはいかないんだよ。旅は僕たち夫婦の希望なんだ」。